研究会のお知らせ

 

日本キリスト教文学会中部支部

2019年1223()

下記の通り研究会を開催いたします。

日時:  2020229日(土) 午後2時-4

場所:  南山大学名古屋キャンパス L棟 609 
     (名古屋市昭和区山里町18 代表052−832−3111

発表者: 中島賢介氏(北陸学院大学)

発表題目: 犀星の『聖書』と白鳥の『聖書』

  室生犀星は金沢時代、友人の尾山篤二郎と田辺孝次に連れら日本基督教団金沢教会の聖書講読会(家庭集会)に参加していたことがある。田辺らによると「僧侶の家の出なので教会へはこなかった」といわれている。確かに尾山と田辺には受洗記録が残されているものの、犀星が教会に通った記録は残されていない。しかし、犀星は上京しても萩原朔太郎とともに聖書を耽読し、『一冊のバイブル』を始め、詩や小説に聖書からの影響が色濃く表現されていることから、聖書に親しんでいたことはまず間違いないと言ってよい。

 一方正宗白鳥は、東京専門学校(早稲田大学の前身)の学生時代、内村鑑三の思想に影響を受けて受洗をしたものの次第に遠ざかり棄教する。しかし、晩年になって白鳥が再び信仰を告白したという事実は当時の文壇を騒がせた。信仰告白の直接の契機は、室生犀星の無宗教葬であった。白鳥は葬儀の場で弔辞を読んだが、その四日後柏木教会に行き、自分の葬儀を植村環牧師に依頼している。

 今回は、軽井沢で出会い親交を深めた二人がそれぞれどのような聖書観を持っていたかを考察する。聖書とドストエフスキイ作品を耽読することで俳人詩人から作家に転向した犀星にとって聖書は文学修業のテキストの一つであったことに対して、白鳥はキリスト教を否定し続けてきたにも関わらず、終生聖書を信仰の書として捉えてきたという根本的な相違がある。

 

次回の研究会は来年2月の開催になりました。ご参加をお待ちしています。

* 新入会員を歓迎します。キリスト教文学にご関心のある方はどうぞお越しください。

* 常勤職をもたない方で遠方から研究会に出席してくださる方には、交通費を補助する場合があります。詳しくは事務局にお尋ねください。

会長 William Purcell(南山大学)

事務局 神谷裕子

中京学院大学 tel.0573-66-3121

509-9195  中津川市千旦1104

e-mail : kamiya@chukyogakuin-u.ac.jp

 

 

 

下記の通り研究会を開催いたします。

日 時:  20191026日(土) 午後2時-4

場 所:  南山大学名古屋キャンパス L棟 609 
      (名古屋市昭和区山里町18 代表052−832−3111

発表者: 大野隆氏(名古屋経済大学名誉教授)

発表題目: ホプキンズとカトリック教会の不可謬性

カトリック教会における教皇の不可謬説は、1870年の第1バチカン公会議において教義として正式に宣言された。教皇の不可謬は、カトリック教会が中世以降認めていた構成員の決定、司教たちの総意の決定、公会議の不可謬と並ぶ第四の不可謬である。それが1870年に公式の教義として確定し、布告された1。ジェラード・マンリー・ホプキンズは、英国国教会の高教会派から1866年、22才のときにカトリックに改宗した。さらに彼は1868年にイエズス会に入会する。ホプキンズがイエズス会で修道生活を始めた時期は、カトリック教会が教皇の不可謬性を正式に宣言した時期とほぼ重なる。本発表では、教皇の不可謬を含めたカトリック教会の決定の不可謬性についての教義と、ホプキンズの改宗との関係にさらに触れるとともに、彼の詩の中にそれがどのように表れているか、特に<杖>のイメージに注目して分析してみたい。テキストはW. H. Gardner and  N. H. Mackenzie, eds. , The Poems of Gerard Manley Hopkins, 4th ed (London: Oxford University Press, 1967)を使用する。主として扱う作品はNo. 10, No, 25およびAppendix Aの聖ドロテア詩群、No. 23 “Nondum”, No.64 “(Carrion Comfort)などである。

 

                                                    1 Wikipedia, 「教皇不可謬説」

 

今回の研究会は秋も深まった10月下旬の開催になりました。ふるってご参加くださいませ。

* 新入会員を歓迎します。キリスト教文学にご関心のある方はどうぞお越しください。

* 常勤職をもたない方で遠方から研究会に出席してくださる方には、交通費を補助する場合があります。詳しくは事務局にお尋ねください。

会長 William Purcell(南山大学)

事務局 神谷裕子

中京学院大学 tel.0573-66-3121

509-9195  中津川市千旦1104

e-mail : kamiya@chukyogakuin-u.ac.jp

 

 

 

下記の通り研究会を開催いたします。

日時:  2019413日(土) 午後2時-4

場所:  南山大学宗教文化研究所2階会議室(217号室) 
    (名古屋市昭和区山里町18 代表052−832−3111

発表者: 金承哲氏(南山大学人文学部教授)

発表主題:遠藤周作と探偵小説

周知のとおり、遠藤周作は、通常、キリスト教作家、あるいは、カトリック作家として知られており、探偵小説作家とは呼ばれてはいない。例えば、『現代日本キリスト教文学全集』(教文館、19731974年、全18巻)には、遠藤の作品がほとんど毎巻に載っているが、『日本探偵小説全集』(創元社、19841989年、全11冊)には、彼の作品は一切含まれていない。また、遠藤のキリスト教文学についての研究論文や研究書は膨大な量に及ぶ反面、彼の作品を探偵小説と関連付けて考察する研究成果は未だ見当たらない。

しかし、遠藤がフランス留学のとき書き残した『作家の日記』によると、彼の「カトリック小説」は「roman policierとの関係」の中で創作されていたこたがわかる。たとえば、1952128日の日記には、「カトリック小説は、探偵小説の手法を効用する事が出来るのである。(中略)ぼくは、小説の技術を学ぶには、映画と探偵小説に頼るのがいいと思う」(『遠藤周作文学全集』一五・170頁)と書かれている。

本発表では、カトリック作家としての遠藤周作の創作活動が探偵小説との関連の中で行われたてきたということを明確にすることによって、遠藤周作の文学世界がもつ重要な側面を究明したいと思う。 

*ご案内が遅くなりました。今回は新年度に入ってからの開催になります。

*いつもと場所が異なることにご注意ください。念のためキャンパスマップを同封いたしました。

*新入会員を歓迎します。キリスト教文学にご関心のある方はどうぞお越しください。

*常勤職をもたない方で遠方から研究会に出席してくださる方には、交通費を補助する場合があります。詳しくは事務局にお尋ねください。

会長 William Purcell(南山大学)

事務局 神谷裕子

中京学院大学

tel.0573-66-3121

509-9195  中津川市千旦1104

e-mail : kamiya@chukyogakuin-u.ac.jp

 

 

 

下記の通り研究会を開催いたします。

日時:  2018923日(日) 午後2時-4
場所:  南山大学名古屋キャンパス L棟 609 
     (名古屋市昭和区山里町18 代表052−832−3111

発表者: 吉川望氏(南山大学非常勤講師)

発表題目:芥川龍之介「白」の 材源をめぐって

芥川龍之介の『白』(19238月)は、白という名の犬を主人公とした童話作品である。

友だちの黒を見殺しにした白の体は、いつの間にか白から黒に変っていた。飼い主に拒絶されて宿無しになり、善行をはたらきながら放浪する。やがて疲れ果てた白は死ぬことを考え、さいごに一目かつての飼い主に会いたいと月に願って眠る。目覚めた白は、自分を迎える飼い主の目の中に元通り白くなった自分の姿を見出し、喜びに満たされる。

先行研究においては、裏切りの罪から救済へという物語の展開に、キリスト教的イメージが表れていると指摘されてきた。たしかに、月に向かってわずかな願いを口にする白の絶望と謙遜のありようと、それに応えるような人知を超えた作用が描かれていると読むことができる(1)。本発表ではさらに、『白』の材源を検討することで、本作品にキリスト教の論理が表されていることを確認したい。また同時に、作者である芥川が創作に際して独自にこらした工夫を明らかにしていく。これらの考察を通して、本作品に描いた芥川のキリスト教や信仰に対するイメージ、思いを明らかにしていければと考えている。

『白』の材源としては、これまでにオスカー・ワイルドの『星の子』、セルマ・ラーゲルレフの『ニルスの不思議な冒険』、ハンス・クリスチャンセン・アンデルセンの『みにくいアヒルの子』が指摘されている(2)。本発表ではこのうち、『星の子』と『みにくいアヒルの子』を取り上げ、具体的に検討する。

 

1)これについては、201792223日に開催された韓国日本キリスト教文学会(於仁川大学)にて口頭発表した。

2)大島真木「芥川龍之介と児童文学」(『比較文学研究』42号、198211月)。

 前回の研究会は突発的な出来事のため開催できませんでした。吉川先生にお願いし、もう一度ご発表いただくことになりました。ふるってご参加くださいませ。

 * 新入会員を歓迎します。キリスト教文学にご関心のある方はどうぞお越しください。

* 常勤職をもたない方で遠方から研究会に出席してくださる方には、交通費を補助する場合があります。詳しくは事務局にお尋ねください。

 会長 William Purcell(南山大学)

事務局 神谷裕子

中京学院大学 tel.0573-66-3121

509-9195  中津川市千旦1104

e-mail : kamiya@chukyogakuin-u.ac.jp

 

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