中部支部活動報告

 

2019年度活動報告

〈研究会〉

(第1)2019年413日(土) 
(
於 南山大学宗教文化研究所) 

発表者:金承哲氏(南山大学人文学部教授)

発表主題:遠藤周作と探偵小説

 

(第2)20191026日(土)

(於 南山大学名古屋キャンパス) 

発表者:大野隆氏(名古屋経済大学名誉教授)

発表題目:ホプキンズとカトリック教会の不可謬性

 

◇支部短信

 2019年春の第1回は関西支部の金承哲先生による、探偵小説作家としての遠藤周作という新たな視点から考察された巧緻な発表でした。遠藤作品を貫くテーマは「痕跡」であり、神はつねに人間を追いかけ人間は神の痕跡をさがすという相互関係から、キリスト教は探偵小説の構造をもつという斬新なテーゼが提示されました。

 第2回には大野隆先生が、「鞭うちと落雷―ホプキンズとローマ・カトリック教会の不可謬性」と題してご発表になりました。G. M.ホプキンズがカトリックに改宗しイエズス会に入会したのは、教皇のエクス・カテドラ宣告と時期が重なります。この教義と改宗との関係、また詩人が教皇不可謬説をどうとらえたのか、作品中の「杖」のイメージの変化から詳細かつ具体的に分析が行われました。

 2020年春には国文学から、親交のあった室生犀星と正宗白鳥の聖書観の相違をめぐって、中島賢介先生にご発表いただく予定です。 

 

 

 

2018年度活動報告

〈研究会〉

(第1回)2018923日(土)

(於 南山大学名古屋キャンパス)

吉川望(南山大学非常勤講師)

芥川龍之介「白」の材源をめぐって

(第2回)2019413日(土)

(於 南山大学名古屋キャンパス宗教文化研究所)

金承哲(南山大学人文学部教授)

遠藤周作と探偵小説

◇支部短信

芥川の童話作品「白」にはキリスト教や神についての明確な表象は見られないが、キリスト教に深くかかわる内容をもつという仮説からの分析になりました。そこで芥川の伝記的事実をはずして作品内在的に読んだ場合にも、キリスト教文学として読むことが可能であるか、作品には仏教的要素も見られるのでは、また一般的な道徳倫理観に基づいて超越的なもの(something Great)への感謝を表すものとして解釈できるのでは、といった多様な意見が出されて、生産的な議論が続きました。

2019年春には、同じく関西支部に所属される金承哲先生に、遠藤周作の作品に関するご発表を快諾していただいています。

 

 

 

2017年度活動報告

〈研究会〉

(第1回)2017916日(土)

(於 南山大学名古屋キャンパス)

 川田基生(名古屋大学非常勤講師)

 矢内原忠雄のパレスチナ紀行

(第2回)201833日(土)

(於 南山大学名古屋キャンパス)

吉川望(南山大学非常勤講師)

芥川龍之介「白」の材源をめぐって

◇支部短信

1回の発表では、矢内原忠雄の植民政策について活発な議論になりました。植民地がその土地の独自性を活かした自主的な発展を目指し、最終的には本国との領有支配関係の消滅にいたるととらえた点に、矢内原の理想主義的な思想が現れているように感じました。

2回、2018年春の研究会では関西支部ご所属の吉川望氏にお願いし、芥川龍之介の短編小説『白』についてご発表いただくことになりました

 

 

 

2016年度中部支部報告

〈研究会〉

(第1回)2016108日(土)(南山大学名古屋キャンパス)

David Mayer / Marianus Pale Hera(南山大学)

Double Presentation: “Of Gods and Men”

  1. Monasticism, Trappists, and Our Lady of Mt. Atlas (David Mayer)
  2. The Bible and the Movie (Marianus Pale Hera)

(第2回)201748日(土)(南山大学名古屋キャンパス)

神谷裕子(中京学院大学)

ヨーゼフ・ロート『ヨブ ある平凡な男のロマン』信仰と救い

◇ 支部短信

1回では2010年のフランス映画「神々と男たちと」をめぐる2つの発表がありました。この映画は1996年にアルジェリアで実際にあった、武装イスラム集団による修道士殺害事件を描いています。前半では映画の背景となる事実について、後半では詩編82に由来する「神々」を考察し、深いメッセージに解釈が及びました。

2回で取り上げられた旧約聖書のヨブ記を踏まえたこの作品(1930)には、作者の実体験と創作が密接に交差し、主人公の救いに作者自身の信仰の軌跡が反映しています。

 

 

 

2015年度活動報告

<研究会> 

(第1回)20151010日(南山大学名古屋キャンパス)

中島賢介(北陸学院大学)

児童文学作家今西祐行の自然観と宗教性

(第2回)2016312日(南山大学名古屋キャンパス)

ウィリアム・パーセル(南山大学)                      

The Moment of Grace in Chimamanda Ngozi Adicchie’s “Cell One”

◇ 支部短信

 2015年は日本の児童文学とナイジェリア出身の女性作家による現代文学からの発表でした。

 第1回では、今西祐行が開設した菅井農業小学校での活動と、それに関する創作、写真集や絵本が紹介されました。詩的なリズムで表現された文章からは、土と子供たちによせる作者の希望が伝わってきます。

 チママンダ・ンゴジェ・アディチェの作品について、アフリカの作家に対する我々の見方に現在も偏りがあるのかが議論になりました。

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